練乳といちご

アイドルオタクのひとりごと

やさしさとは

 

「明日からは、恋とかもするかもしれませんねー!俺の嫁ですねー!」と、いたずらっぽく笑いながら、天使ちゃんになって去っていった飛鳥ちゃん。

 

 

そんな飛鳥ちゃんの卒業コンサートでの記憶を、私はどうしてもここに残していかなければいけません。いつかは色褪せていく思い出や感情を、色濃いままで忘れないようにするためです。

 

 

2023年 5月17,18日。

 

 

今が思い出になるまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

運良く、というかもはや運命的に二日目のチケットを手にした私。

一日目は配信で、二日目は現地で。大好きな女の子がアイドルとして過ごす最後の瞬間を見届けてきました。

 

それはもう、ほんとうにほんとうに幸せだった。

 

 

 

何から話そうかな。

 

それほどまでに、”乃木坂46 齋藤飛鳥”が詰まった2日間。

 

私が見てきた飛鳥ちゃん、私が出会う前の飛鳥ちゃん、今を生きる飛鳥ちゃん。

愛おしい人の人生の欠片がたくさん散りばめられていた時間。うれしくてさみしい、そんな時間。

 

全部書くとキリがないので、2日間で特に印象的だった曲について触れていこうかな。

 

 

「ありがちな恋愛」

七瀬が卒業した後に発売された4thアルバムで、まいやんと飛鳥ちゃんがWセンターを務めたリード曲。飛鳥ちゃん自身もずっと好きだと言っていたし。私もとっても好きな曲。切なさが漂うメロディーラインに乗せて歌われるのは、もう去ってしまった別れと戻ることのない過去と、これから訪れる手探りの未来についての感情。誰かのことを考える中で自分と向き合う、そんな曲。

「愛よりも大切な夢を見つけたのなら 現実はいつだって退屈なものだ」

乃木坂らしいしなやかなダンスと、目を惹くみんなの儚い表情。2日間ともセトリに入れていた意図は想像しかできないけれど、別れの先にある「出会えてよかった」に辿りつくためのきっかけをこの曲はくれる気がする。

 

 

 

 

「Threefold choice」「なぞのらくがき」

tfcは蓮加とあーやと、らくがきは蓮加とあやめんと披露。曲自体が大好きで爆沸きしたことは大前提すぎるので置いといて、1期生の最年少だった飛鳥ちゃんが、各期の末っ子ちゃんに見せ場をつくってあげているのが素敵だなぁと思った。最年少って肩書きは、特権でもあれば、本人にとってはそのフィルターを通してしか評価されないもどかしさもあるものだと思ってるから、そこを上手く活かした組み方をしたのは飛鳥ちゃんの大きな愛だなぁと、これも私の勝手な想像。

 

 

 

 

「私、起きる」

なぜか卒コンの少し前からドはまりしてリピートしてた激カワソングのイントロが流れた瞬間の私の気持ちわかる???????(知りません)

 

 

 

 

「地球が丸いなら」

どこか不安な気持ちになった時、聴くと必ず安心させてくれていたこの曲。MVみたいに、やさしい気持ちで浜辺を歩いている気分になれる曲。

”もし出会いが偶然なら さよならも巡り合わせ 抗えるわけないでしょう”

私の大好きな歌詞たちを、ひとりでじっくり歌ってくれたのがうれしかった。どこの歌詞を歌うかは自分でかんがえたんだよ~とあとから教えてくれて、もっともっとうれしくなった。

 

 

 

 

「他の星から」

このコンサートで飛鳥ちゃんが唯一後輩と二人でステージに立ったのは、4年前にも一度披露しているさくらと踊ったこの曲だけだった。「母と子」そんな言葉で表される二人の関係性。今まで決して明確な言葉では語らなかったけど、飛鳥ちゃんがさくらに特別大切な感情を伝えようとしてることが痛いほど伝わった選曲とパフォーマンス。しがみつくようだった4年前とは比べ物にならないほど精度が上がって磨かれたさくらのダンスに正直やられたし、二人の間にある美しくてやさしい物語が、そこにあった気がした。きっとこの先も語り継がれる伝説のステージ。

 

 

 

 

「Against」

生駒ちゃんが卒業する時に出した1期生楽曲を、アンダーメンバーと披露。今この曲を歌えるのは飛鳥ちゃんしかいなくて、飛鳥ちゃんが卒業した後は誰も歌える人がいなくなってしまう。この曲を封印しないためにと、アンダーに託すことにしたんだろうなぁ。

「僕らは変わらなきゃいけない 永遠なんか信じるな」

アンダーならではのダンスの気迫とプライドがひしひしと伝わってきて痺れた…。フロントに麗乃ちゃんがいたのも私には特別嬉しかった。

 

 

 

 

「制服を脱いでサヨナラを…」

あしゅみなちゃんの名ユニット曲。完全に個人的すぎるエピソードだけど、3年前、コロナ前最後に行った8thバスラ。4日間セトリが違う中、私が入った日にバクステで披露された本家が私の中で大事すぎる思い出で、忘れられずに今日まで過ごしてた。そしたら卒コン2日目、あの日と同じバクステで、あの日と同じこの曲が流れ始めて、しかもサビを飛鳥ちゃんの隣で踊ってるのは麗乃ちゃんで。

「微笑みも涙も宝物だ」

もう全てが夢だと思った。こんなことあるんだって、涙で双眼鏡覗けなかったけど、死ぬ気で網膜に焼き付けた。私が勝手に受け取った大きすぎるプレゼント。

 

 

 

 

「硬い殻のように抱きしめたい」

2017年リリースのアルバムに収録されている飛鳥ちゃん初めてのソロ曲。

きっと飛鳥ちゃんは自分の歌があんまり好きじゃないんだろうなぁと、それはずっと感じていて、過去にこれを歌った映像が番組で流れるといつも嫌そうな顔してたね(笑)でも、だからこそ、最後にちゃんとこの歌を届けることの意味を飛鳥ちゃんが感じてくれていたのがうれしかった。

それとね、この曲はずっと私が飛鳥ちゃんに届けたい歌だった。弱さを見せることが上手じゃない飛鳥ちゃんのことを歌った歌だとずっと思っていたから。でもあの日、自分じゃない誰かのことを想ってこの曲を歌う姿を見て、6年の時を経て飛鳥ちゃんは「抱きしめられる側」から「抱きしめる側」になったんだなぁって気づいたよ。

 

 

 

 

「人は夢を二度見る」

飛鳥ちゃん卒業後に発売された32ndシングル。今でもイントロを聴くと涙腺が緩むほど、正直かなり上位で記憶に残っている。私にとって初めての飛鳥ちゃんがいない乃木坂のシングル。この曲を受け入れることは、何より難しいことだったから。

でもあの日、「この曲を一緒に歌わせてください」と飛鳥ちゃんの潤んだ声の曲紹介で流れ始めたイントロを聴いて、その全部が一瞬にして救われた。

「夢をもう一度見ないか? 叶うわけがないと諦めたあの日の何かを」

どれだけ探しても飛鳥ちゃんがいなかった曲の真ん中に飛鳥ちゃんがいる。似合うだろうなと思っていた振付を踊る飛鳥ちゃんがいる。それがこの5か月間私のずっと探してた景色で、”今の乃木坂にいる飛鳥ちゃん”という、叶うわけのなかった夢が叶ってしまった。涙が溢れて止まらなかった。本当に二度目の夢だった。こんなにもすべてを物語にしてしまう齋藤飛鳥というアイドルが、心の底から愛おしいと思った。

あとね、この曲を一緒に歌ったのは、飛鳥ちゃんの最大の「さみしい」の表現だったんじゃないかなと、これは後から思ったこと。ほんとうはこの場所にいたかったよ、そんな声が聞こえてきそうだった。

 

 

そのあとに続く「帰り道は遠回りしたくなる」「サヨナラの意味」は、もう完全に飛鳥ちゃんが旅立つための道として完成していた。

 

「サヨナラに強くなれ この出会いに意味がある」

 

11年と8ヶ月。

加入当時中学生だったひとりの女の子が、立派な国民的アイドルになるまでの駆け抜けた道のり。そのゴールという名の未来が、すぐそこに眩しくひらけている。

今まで幾度となく同期や後輩の卒業を見届けてきた彼女が、ついに羽ばたく時。

涙と一緒に溢れる寂しさを乗り越えて、「最後の姿を見届けられてよかった」という想いとやさしさで心をいっぱいにしてくれたのは、間違いなく彼女が見せ続けてくれた”アイドル 齋藤飛鳥"としての生き様があったから。

 

 

「過去がどんな眩しくても 未来はもっと眩しいかもしれない」

 

 

久しぶりの歓声に、時々イヤモニを外しては嬉しそうに顔をほころばせる飛鳥ちゃんを見て、ちゃんとアイドルが楽しかったことを感じられて嬉しかった。

なぜあなたが約12年間もアイドルを続けてきたのか、その理由がこのステージを見れば一瞬でわかった。

ずーっと笑顔で「たのしい!」を体現していた飛鳥ちゃんの目が、Sing Out!でファンの大きな歌声とクラップに包まれた瞬間に潤んだ時、あぁこの子は生粋のアイドルなんだなぁ、と思った。

 

 

乗り越えなきゃいけないものばかりだったはずの12年。

アイドルになっていなければ抱える必要のなかった苦しみや葛藤に、たくさん悩まされてきたはずで。

それでも、人生の半分以上を、青春まるごと、”乃木坂46”に捧げてくれた飛鳥ちゃんが、アイドルにならなければ浴びることのなかった歓声でこんなにも幸せそうな顔をしてくれるのであれば、もし私がその一部になれていたのであれば、そんなに幸せなことはなかった。

 

 

「楽しさも寂しさも全部ぎゅっと明るい色にしてみんなが見せてくれたから幸せな時間でした」って本当に大好きな飛鳥ちゃんの言葉だったな。

自分を照らす水色と白の光の中に”さみしい”が隠れているのもちゃんと見つけて取りこぼさないでいてくれる、愛だと受け取ってくれる飛鳥ちゃんだから、精いっぱい楽しく送り出そうって、泣きながら笑えたんだよ。

 

東京ドームという広いステージの真ん中でひとり堂々と舞い踊るあなたを見て、自分がすごい人を応援してきたことを改めて実感した。指先や衣装の裾にまで意識が宿っていて、髪の靡き方さえも計算され尽くしたかのようなダンスに、過ぎる時間も忘れて見惚れたかった。小さくて大きいその背中に、愛おしさを見つけた。

 

2日間で丸々セトリを変えたことについて「自分が参加した曲はできる限り披露したかったから」と話していた飛鳥ちゃん。

ライブの最中は「私の好きな曲、聴きたかった曲ばっかりだ…!」とテンションが上がっていたけれど、飛鳥ちゃんのいる楽曲が自然と私の好きな曲になっていたことに、終わってから気が付いた。私の特別でいてくれるひと。

 

 

 

「好きだった、この場所」

 

 

 

オリメンの中に現役生と卒業生がいる歌は披露しない、もしくはソロで魅せるという選択にも、飛鳥ちゃんの愛を見つけました。例えば、「地球が丸いなら」をもし与田ちゃんと披露したら、今はいない桃子の存在が見えてしまう。きっと飛鳥ちゃんは、それを望まなかった。

ユニット曲では、誰一人代役を立てなかった。もういない存在を、今いる誰かで埋めなかった。

グループが歩んできた11年間の歴史を、乃木坂46というグループそのものを、こんなにも大きな愛ですっぽりと包み込むことができるのは、最後の1期生として戦い輝きつづけたあなただけだったと思う。

 

1期生最後のひとりとなった今、ほとんどの曲をオリメンで披露することができない中、ただひたすらに後輩たちの成長と乃木坂46の明るい未来をあなたが願った時、そこには眩しいほどの希望の光と、愛と呼ぶには深すぎるあなたのこの場所への想いがありました。

 

歴史を大切にはしたけれど、過去は振り返らなかった。

ずっと未来の乃木坂46の話ばかりをしてくれたこと、今のメンバーにとってどれだけ救いで、自信で、これからのおまもりになるのだろう。

 

 

「守りたかった 愛に代わるもの」

 

 

最愛の人がいなくなったあと、私は乃木坂46とどう向き合っていくのか、何度も考え、考えては、そっと離れることしか浮かばない日もあった。でも今なら、飛鳥ちゃんが大事にした乃木坂を、飛鳥ちゃんが守ろうとした乃木坂を、飛鳥ちゃんが愛した乃木坂を、これからも応援したいと、心から思います。だって飛鳥ちゃんに託されたんだもん。「信頼してます」って言われちゃったからね。

 

 

 

 

 

 

” 「守りたい」って言ってくれるけど、「守りたい」って言ってもらえる乃木坂をつくれたことが嬉しいから、これからはあなたたちの乃木坂でいいんだよって密かに思ってる ”

 

過去にこんな言葉を後輩たちに向けて残した飛鳥ちゃんの乃木坂人生最後のページが、やりたいことをやりきれるコンサートでよかった。

「ジコチューで行こう!」で始まって「ジコチューで行こう!」で終わったことが、何よりこの2日間を表していて、私はとっても嬉しかったよ。

 

 

 

 

きっと一生忘れない時間。

出会えて、好きでいられて、応援できて、私の人生にいてくれてありがとうって。

大好きもさみしいも全部をこめて、いっぱい名前を呼んで、水色と白をめいいっぱい振って、世界でいちばん綺麗だった私のだいすきな女の子、ほんとうに、今まででいちばん綺麗だった。

たのしい!が詰まった飛鳥ちゃんの笑顔が、この先もきっとたくさんの場面で私を救ってくれるんだろうな。

 

 

 

 

 

愛したから愛された人。両手いっぱいの優しさをみんなにあげる人。

 

私にとってのやさしさの意味は、飛鳥ちゃんそのものでした。

 

乃木坂46でいてくれてありがとう。

 

あなたに出会えた人生でよかった。

 

最後にもう一度だけ言わせてね。

 

卒業おめでとう。幸せでいてね。